書いて浮かべるブログ

書きながら考える

のんびりしたい私のアタマノナカ

たまには行き先を考えない

行き先を考えずに歩く。そうすれば、自然と正しい方向へ導かれる。
(ヘンリー・ディヴィッド・ソロー『孤独の愉しみ方』)

行き先を考えないで歩くとまったく違った方向に進んでしまうから、目標設定は大切。よくそんなふうにいわれる。しかし、行き先にたどり着く道は無数にあるので、最短ルートで行く必要はないといわれることもある。

最短ルートには障害物が多くあって、それを乗り越える前に挫折しがち、といった想像が思い浮かぶ。でもそんなことはないだろう。最短ルートが一番簡単ということだってありうる。だからといって、最短を目指すのがいいといってるわけではない。

たとえば行き先までの経験をレベルで表すと、行き先に着くまでに経験を必要としない、レベル0のまま到着できるところがあるとする。もちろん、レベル0のまんまでたどり着くのは一向に構わない。早々に目的地に着ければ、次の行き先を目指すことができる。

いろんなところに寄り道しながら制限時間いっぱいまで経験をすることだってできる。最初のフィールドで難易度の高い経験を積めることもあるだろうから、もしかするといきなりレベル100に達することだってできるかもしれない。目的地までの時間制限というものがあるかはわからないが。

すごろくみたいなもので3マス戻るとかスタートに戻る、というのがあるが、戻ったおかげで特別なマスで素晴らしい経験ができ、大幅なレベルアップを果たせることもある。現実の世界はすごろくよりも自由で、正反対の方向に進んでいたからといって行き先にたどりつけないとは限らない。巡り巡って一周して、無事到着できるかもしれないのだから。

本当の楽しみが寄り道にあることもある。物語でもなんでも、要約したものだけでよければそもそもほかの部分を作る必要なんてない。だが、実際には主題をより際立たせるために、一見不要と思われる部分が盛り込まれている。そういった部分を寄り道しながら楽しむことで、行き先に着くまでの道のりを充実させることができる。

そんな目線で読書を考えると、速読をしてなんとなく本の内容を理解するくらいなら、じっくりつまみ読みをしたり、精読のタイミングがくるまで積読していたほうがいいのかもしれない。

なにも速読が悪くて精読がいいというわけではなくて、いろんな読み方をしていいということ。行き先を目指すにしても、直行するばかりでなく散策をしてみる。何度も同じ行き先に行くのなら、いつものルートを使わずにさまざまなルートを試してみる。そのときくらいは行き先に向かって歩かないで、行きたい方向や導かれる方向へ行ってみるのはどうだろう。